分割出願のメリットについて【弁理士がわかりやすく解説】

2019年12月11日

特許出願について調べていたら、「分割出願」っていう言葉が出てきたけれど

  • 分割出願って何?
  • 分割出願は、普通の特許出願と何が違うのだろう?

このような疑問をお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。

以下では、分割出願及びそのメリットについて説明いたします。また、分割出願の裏ワザ的な使い方についても説明いたします。

1.分割出願とは

1-1.定義

分割出願とは、2以上の発明を包含する特許出願の一部を1又は2以上の新たな特許出願とすることです。

分割出願をすると、分割出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなされます。すなわち、分割出願の出願時は、もとの特許出願の出願時に遡及します。

1-2.具体例

例えば、特許出願1の明細書に発明Aと発明Bが記載されていたとします。また、特許出願1に係る発明は発明Aであったとします。

この場合、特許出願1に基づいて、発明Bを分割出願することができます。

分割出願の出願時は特許出願1の出願時に遡及するため、発明Bの新規性及び進歩性等の特許要件は、特許出願1の出願時を基準に判断されます。このため、特許出願1の出願時と分割出願の出願時との間に、発明Bが公知になっていたとしても、発明Bについて特許を受けることができる可能性があります。

特許出願1をした後に、発明Bについて、分割出願ではなく、普通に特許出願をすると、多くの場合、特許出願1に含まれる発明A及び発明Bが出願公開により公知になっているため、発明Bに新規性がないという理由で拒絶されてしまいます。

2.分割出願のメリット及び使い方

2-1.発明の単一性の要件違反の拒絶理由対策

分割出願は、発明の単一性の要件違反の拒絶理由対策に用いることができます。

例えば、発明A及び発明Bを含む特許出願1は、発明の単一性の要件を満たさないという拒絶理由が通知されたとします。

この場合、例えば、特許出願1から発明Bを削除することで、特許出願1で発明Aについて権利化を望むことできます。また、発明Bについては分割出願することで、分割出願で発明Bについて権利化を望むことができます。

これが、分割出願の制度が想定していた本来の分割出願の使い方です。

一方、以下の「2-2.」「2-3.」が、分割出願の裏ワザ的な使い方になります。

2-2.審査を実質的にやり直すことができる

分割出願をすることで、審査を実質的にやり直すことができるというメリットがあります。

特許出願1において、審査の結果、発明Aは特許をすることができないことが判明したとします。また、既に審査の最終段階(例えば最後の拒絶理由通知に対する応答時)であり、自由に補正をすることができないとします。この場合、発明Aを分割出願することで、発明Aについて再度審査を受けることができます

発明Aについてそのまま分割出願しても、再度拒絶されてしまいますので、発明Aについて拒絶理由を解消できるように少々補正をした発明A’について分割出願をすることが一般的です。

2-3.特許出願を係属中にしておくことができる

分割出願を繰り返すことで、特許出願を係属中にしておくことができます

特許出願の係属中であれば、自社の商品、他社の商品、パテントプールの標準技術等が特許請求の範囲に含まれるように特許請求の範囲を適宜補正することができます。

このため、特許出願を係属中にしておくことで、自社の商品、他社の商品、パテントプールの標準技術等が決まってから、特許請求の範囲を後出し的に補正することができるというメリットがあります。

3.結語

以上、分割出願及びそのメリットについて説明いたしました。

分割出願を上手に利用して頂ければ幸いです。

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