*アイキャッチ画像は公式ホームページから引用

コンビニで買ったBRULEE(ブリュレ)のアイスが感動的に美味しかったので、メーカーであるオハヨー乳業株式会社のホームページを見たところ気になる記載を発見。

本物の焼き目にこだわったブリュレアイスです。

アイスの表面をオハヨー乳業独自の製法(特許出願中)で加熱し、ブリュレの特長であるパリパリとした食感、香ばしくほろ苦い焼き目を再現しました。

香ばしい焼き目の下には、厳選した乳原料を贅沢に使用した濃厚なミルクアイス。ほろ苦い焼き目がアイスのおいしさを引き立て、最後まで飽きずにお召し上がりいただけます。

こんがりとキャラメリゼした焼き目は、これまでのアイスにはない、パリパリとした食感。20種以上の砂糖から選び抜き、独自のブレンドをして実現しました。

特許出願中!!

この美味しさは、特許出願するほど素晴らしい技術によって作られているのか。。

どんな技術か気になる!!

ということでブリュレに関連する特許公報を調べてみました。

1.ブリュレに関連する特許公報

これがブリュレに関連する特許公報(正確には、再公表特許)です。

JPA1018110069-000000

1-1.経過情報

このブリュレに関する特許出願は、PCT経由で国際出願されています。今後、移行国のそれぞれで審査が行われ、拒絶理由がない場合には、特許権が付与されます。現段階(2019年10月29日)では、文字通り特許出願中(特願2018-556220)であり、特許権は成立していません

1-2.背景技術

まずは、背景技術から見て行きましょう。

【0002】
従来から、例えば、プリン、クレームブリュレ、カスタードプディング、アイスクリーム、およびその他の洋菓子や焼き菓子、さらにパン等において、それら食品の表面に砂糖を振り掛けて加熱することにより、食品の表面に付着した砂糖がカラメル化することでパリパリとした食感と香ばしい独特の風味や風合いを施す方法が知られている。

アイスのブリュレにも表面にカラメルがのっています。

1-3.発明が解決しようとする課題

【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カラメルは吸湿し易いため、食品それ自体の水分や大気中の水分によってすぐにベトベトとした食感となってしまい、加熱直後の香ばしいパリパリとした良好な食感は維持されない。

このように、カラメルは吸湿しやすいため、普通にカラメルをのせてもすぐにパリパリとした食感は失われてしまうようです。

それでは、この課題をどのように解決したのでしょうか?

1-4.課題を解決するための手段

【課題を解決するための手段】の欄の記載ではないですが、段落【0019】に、次のようなわかりやすい記載があります。

【0019】
本発明においては、これら第一の食品11とカラメル部15との間に第二の食品13を介在させるため、カラメル部15は第一の食品11からの水分を吸湿し難い。また、第二の食品13が有する油分によってカラメル部15の水分の吸湿をさらに防止することになる。その結果、カラメル化による食品表面のパリパリとした良好な食感が長時間維持させることができる。(以下略)

以下の図1を参照しながら、読んでみて下さい。

ザックリとした例で説明すると、アイス(第一の食品11)と、カラメル(カラメル部15)の間に、チョコレート(第二の食品13)を介在させることで、カラメルの吸湿を防ぐそうです。

チョコレートの油分が壁となり、アイスからカラメルへの水分の移動を防ぐことができるのでしょう。

これにより、カラメルのパリパリ感を維持することができるそうです。

ブリュレのカラメルのパリパリ感にはこんな秘密があったんですね!

1-5.特許請求の範囲

気になる特許請求の範囲の記載は、こんな感じです。特許請求の範囲の記載は抽象的であり読み辛いと思いますので、慣れていない方はざっと斜め読みしましょう。

【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】  第一の食品と、油脂を含有する第二の食品とを含み、第二の食品表面の一部又は全部が 糖の加熱生成物で覆われていることを特徴とする表面焼成食品。
【請求項2】  前記第一の食品表面の少なくとも一部が、前記第二の食品によって被覆されたことを特 徴とする請求項1に記載の表面焼成食品。
【請求項3】  前記第二の食品とは、チョコレート類および油脂からなる食品群から選択された1種又 は2種以上の食品であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面焼成食品。
【請求項4】  前記第一の食品とは、プリン、クレームブリュレ、カスタードプディング、アイスクリ ーム、ケーキ、その他の洋生菓子、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓、その他の焼き菓 子、チーズ、ヨーグルト、パスタ、食肉、パンからなる食品群から選択された1種又は2 種以上の食品であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表面焼成食 品。
【請求項5】  前記第二の食品は容器に充填された前記第一の食品の前記容器開口部側の表面を被覆す るように載置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表面焼成食 品。
【請求項6】  第一の食品と、第一の食品表面の少なくとも一部を被覆する油脂を含有する第二の食品 を含む表面焼成食品の製造方法であって、第二の食品表面に付着させた糖を加熱し、糖の 加熱生成物を生成する工程を備えることを特徴とする表面焼成食品の製造方法。
【請求項7】  前記糖の加熱生成物は、前記糖を加熱しカラメル化させて得られるものである請求項6 に記載の表面焼成食品の製造方法。

流石に請求項1は広ずぎるので、この請求項1で特許を取るのは難しいかもです。

今後、審査官の拒絶理由や拒絶理由通知で引用された引用文献を見ながら、請求項1は減縮補正されると思われます。

なお、特許出願時に最上位概念の請求項1を広めに書いておくのは、よく行われる実務慣行です。広めに書いておいた請求項1が運良くそのまま特許査定になる場合もあります。また、広すぎるということで拒絶理由が通知された場合には、その拒絶理由や引用文献を見ながら、適切な範囲に減縮補正すれば足りるからです。

2.まとめ

ブリュレの美味しさの秘密を特許の観点から、見て行きました。

コンビニのアイスとしては少々高価(300円位)ですが、とても美味しいですので食べてみてください。

ブリュレ美味しいですよ!

ブリュレがとっても美味しかったので、個人的にはこの特許出願を応援!?しています。無事権利化し特許権により投資の資本を回収し、また素晴らしい商品を開発して頂ければ幸いです。

3.追記(2020/07/07)

2020/06/30に特許査定が出たようです。おめでとうございます。