US特許出願で、final rejectionに対する応答時に、AFCP 2.0を請求することができます。
ところで、AFCP 2.0って何でしたっけ?昔聞いたことがあるけれど、詳細は覚えていない。このような方もいらっしゃるのではないでしょうか。
以下、US特許出願におけるAFCP 2.0のメリット、デメリットについて説明します。
AFCP 2.0とは
AFCP 2.0は、After Final Consideration Pilot 2.0の略称です。
AFCP 2.0の請求は、final rejectionに対する応答時に行うことができます。
AFCP 2.0の請求は、少なくとも1つの独立クレームに対する補正と共に行う必要があります。その少なくとも1つの独立クレームに対する補正は、クレームの範囲を広げるものであってはいけません。
AFCP 2.0を請求すると、final rejectionに対する応答を考慮する時間(最大3時間)が審査官に設けられます。
final rejectionに対する応答を考慮しても、全てのクレームについて特許査定をすることができない場合には、その応答について議論をするために審査官は出願人にインタビューを求めます。
このように、final rejectionに対する応答時にAFCP 2.0を請求すると、特許査定をすることができない場合に、審査官とインタビューをする機会がadvisory actionの前に設けられます。
なお、AFCP 2.0は、RCEの請求の数を減らすこと、及び、出願人と審査官との間の協力を強化して出願の審査を効果的に進めることを目的として設けられています。
AFCP 2.0についてのより詳細な情報については、USPTOのサイトAfter Final Consideration Pilot 2.0を参照してみてください。
AFCP 2.0を請求するメリット
特許査定通知を受ける確率が少しだけ上がる
上記のように、AFCP 2.0を請求すると、審査官とインタビューをする機会がadvisory actionの前に設けられます。
そのインタビューの中で審査官を説得することができた場合には、特許査定通知(notice of allowance)を得ることができるというメリットがあります。
また、インタビューの中で審査官を説得することができなくても、office action等の書面には表れない審査官の見解を知ることができることができます。この審査官の見解を、RCE請求後の応答時に生かすことができるというメリットがあります。
AFCP 2.0の請求自体は無料
AFCP 2.0の請求する際のUSPTOに対する追加料金の支払いは、不要です。
このため、比較的気軽にAFCP 2.0を請求できるというメリットがあります。
AFCP 2.0を請求するデメリット
AFCP 2.0に基づくインタビューの中で審査官を説得できる可能性は高くない
AFCP 2.0に基づくインタビューの中で審査官を説得できる可能性は、それほど高くありません。
私の経験上、AFCP 2.0を請求しても、「AFCP 2.0に基づくインタビューを行ったが、審査官を説得することができなかった。」という連絡を現地代理人から受けるだけのことが多いです。
インタビューが行われた場合に現地代理人費用が発生
先ほど述べたように、AFCP 2.0の請求自体は無料です。
しかし、AFCP 2.0に基づいてインタビューが行われた場合には、インタビューを行った現地代理人からインタビュー費用を請求されるというデメリットがあります。
AFCP 2.0を請求するかどうか
個人的には、AFCP 2.0の請求≒特許査定通知を受ける確率を少しだけ上げることができるおまじないみたいなものと感じています。
AFCP 2.0の請求の効果を実感できないため、AFCP 2.0の請求をしない方も多くいます。
しかし、上記のように、AFCP 2.0を請求することで、特許査定通知を受ける確率をわずかですが上げることができます。
このため、多少の費用(インタビュー費用)をかけてでも、特許査定通知を受ける確率を上げたい場合には、AFCP 2.0を請求することをおすすめします。
US特許を取得する費用を削減したい方は、AFCP 2.0の請求をしなくてもOKだと思います。
結語
AFCP 2.0を請求するメリット、デメリットは、まとめると以下のようになります。
メリット
- 特許査定通知を受けることができる確率が少しだけ上げることができる
- AFCP 2.0の請求自体は無料
デメリット
- AFCP 2.0に基づくインタビューの中で審査官を説得できる可能性は高くない
- インタビューが行われた場合に現地代理人費用が発生する
この記事が、ご参考になりましたら幸いです。