ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)のセルフレジが、株式会社アスタリスクの特許を侵害しているとして、株式会社アスタリスクにより訴えられました。

週5でユニクロに通うユニクロ大好き、趣味ユニクロ、全身ユニクロな私としては、その特許の内容が気になる!!ということで、株式会社アスタリスクの特許(特許第6469758)の内容を調べてみました。

同特許について気になる方も多いのではないでしょうか。

以下、株式会社アスタリスクの特許(特許第6469758)の内容をできる限りわかりやすく解説します。以下、特許公報から記載や図を適宜引用します。この特許の詳細はこちらを参照して下さい。

1.経過情報

出願日:平成29年5月9日
登録日:平成31年1月25日
現在係争中…

2.背景技術

まずは、背景技術から見て行きましょう。

【0004】
 ここで、特許文献1の読取装置は、開口を通じて商品を収容する筐体と、当該開口を開閉するフタと、を備え、筐体とフタは電波を反射または吸収する部材で形成されている。この読取装置は、筐体の開口がフタで閉められた状態、すなわち筐体内に収容された物品がシールドで密閉された状態でRFタグの読み取りを行うので、上記した電波に関する問題を防止することができる。

セルフレジにフタがない場合には、近くにあるセルフレジが発する電波と干渉するため、セルフレジが機能しない可能性があったそうです。

そこで、背景技術のセルフレジ(読取装置)は、電波の干渉を防ぐために、電波を反射又は吸収するフタを有していたそうです。

3.発明が解決しようとする課題

しかし、フタを有することにより、以下のような問題がありました。

【0006】
 しかしながら、特許文献1の読取装置では、筐体内に商品を入れてフタを閉めて会計処理をした後、フタを開けて商品を取り出すといった煩わしい動作が必要となる。また、筐体内に収容された買物カゴを視認することができないので、会計処理中には、商品を再度確認することができなくなってしまう。すなわち、顧客の利便性が損なわれてしまう。

背景技術の読取装置では、フタの開閉という煩わしさ、フタをすることによる視認性の低下により利便性が損なわれるという問題がありました。

たしかに、お会計の度にフタを開閉するのは面倒ですよね。また、フタをすると、購入する商品の最終チェックができないので不便ですよね。

4.課題を解決するための手段

それでは、どのようにしてこの問題を解決したのでしょうか。

課題を解決する手段の欄ではないですが、段落【0027】【0029】に比較的わかりやすい記載があります。以下に引用する図(図1(a)及び図3)を参照しながら、これらの段落の記載を読んでみてください。

この発明の読取装置は、このような感じです。

 

【0027】
 このように本実施形態では、図1に示すように、読取装置20の収容部36に買物カゴBがセットされると、収容部36が開口した状態で読取装置20によって各商品Pのタグ情報が読み出され、モバイル端末22によって提供情報(リストや総額)が表示される。

収容部36に買い物カゴBをセットすると、買い物カゴBに入っている商品の情報が表示されます。買い物カゴBを置くと、収容部36に覆われるのがポイントでしょうか。

【0029】
そして、収容部36を構成しているシールド部44によって、リーダライタ16のアンテナ60から放出される電波が読取装置20の周囲に広がるのを抑制し、他の機器に対する電波の影響を低減させることができる。また、読取装置20の周囲にある他の機器からの電波が収容部36に進入することも抑制され、電波の干渉に起因する読取精度の低下を低減させることができる。

収容部36のシールド部44が、アンテナ60から放出される電波が周囲に広がるのを防ぎます。なるほど。このため、フタをしなくても、電波の干渉を防ぐことができるのですね。

これにより、フタをなくすことができ、フタの開閉という煩わしさ、フタをすることによる視認性の低下により利便性が損なわれるという問題を解決することができるということですね。

4.特許請求の範囲の記載

気になる特許請求の範囲の記載は、以下の通りです。特許請求の範囲の記載は抽象的で読みずらいため、慣れていない方は眺める程度にしておきましょう。

【請求項1】
物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部と、
を備え、
前記シールド部が上向きに開口した状態で、前記RFタグから情報を読み取ることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記アンテナよりも前記開口側に配されて、前記物品が載置される載置部を備えた請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記シールド部は、
前記電波を吸収する電波吸収層と、
前記電波吸収層の外側に形成され、前記電波を反射させる電波反射層と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の読取装置と、
前記読取装置と通信可能な情報提供装置と、
を備え、
前記情報提供装置は、
前記物品に関する物品情報を前記RFタグの情報に対応付けて記憶する記憶部と、
前記読取装置から前記RFタグの情報を取得する取得部と、
取得した前記RFタグの情報に対応する前記物品情報を前記記憶部から抽出して提供すべき情報を生成する情報生成部と、
生成された前記提供すべき情報を出力する出力部と、
を備える情報提供システム。

請求項1の「前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部と、」がポイントですね。

なお、無効審判により、この特許の有効性が争われています。そして、無効審判の中で、請求項1,2,4は無効とされましたが、請求項3は有効と判断されました。

今後は、ユニクロのセルフレジが、請求項3の発明に該当するかが争点になると思われます。

ユニクロのセルフレジの商品・カゴを置く場所は、白い壁で覆われています。この白い壁の中に、電波吸収層及び電波反射層があれば、請求項3の発明に該当する可能性があります。

外から見ただけだと、電波吸収層及び電波反射層があるかどうかわからないですね。。

5.結語

以上、株式会社アスタリスクの特許(特許第6469758)を説明いたしました。

ユニクロが大好きな私としては、目が離せない特許紛争です。両社の攻防及び結末を見届けたいと思います。

この記事がお役に立ちましたら幸いです。