突然ですが、とある友人Aと初めて会ったときの会話。

友人A「義村さんって、お仕事何をやられているんですか?」
義村「『べんりし』です。」
友人A「へー、義村さんて『べんりし』なんですね。『べんりし』って何をやるんですか?」
義村「何でもやりますよ。迷い犬を探したり。煙突を掃除したり。」
友人A「へー、それは大変な仕事ですね~」

このような感じで「べんりし」についての嘘の情報を伝えたら、友人Aはそれから半年位その嘘の情報を信じて、私が便利屋さんであると勘違いしていたようです(笑)。

みなさんは、弁理士が何をしているのかご存じですか?

以下、弁理士の仕事についてわかりやすく説明します。

1.依頼者様の商品、ビジネスを保護するバリアを作成

弁理士の主な仕事は、依頼者様の商品、ビジネスを保護するバリア(特許権、商標権等の知的財産権)を作成することであると考えています。

商品、ビジネスを保護するバリアがない場合には、他者が、類似商品を販売したり、そのビジネスに参入したりする可能性があります。
一方、商品、ビジネスを保護するバリアがある場合には、他者による、類似商品の販売や、そのビジネスへの参入を防ぐことができます。

商品、ビジネスを保護する強固なバリアを作成することにより、依頼者様の商品販売、ビジネスにより得られる利益を可能な限り高める

これが、弁理士の主な仕事であると個人的に考えています。

どのようなバリアが最適であるのかは、商品やビジネスによって異なります

発明を保護する特許権、小発明を保護する実用新案権がバリアとして最適なこともあれば、デザインを保護する意匠権、商標を保護する商標権がバリアとして適切なことがあります。

また、特許権というバリアを選択したとしても、特許権の中身である特許請求の範囲の適切は記載は、発明の具体的な内容、背景技術、技術分野、ライバル企業の商品等によって異なります。

そこで、弁理士は、依頼者様から商品、ビジネス等の情報をお聞きして、依頼者様に最適なバリアを考え、ご提案しています。

私の専門は主に特許なので、依頼者様から、商品のアイデア、ビジネスのアイデアを教えて頂いて、それをらを咀嚼して、特許権という知的財産権という形式に再構築する仕事をしています。教えて頂いた商品のアイデア、ビジネスのアイデアをどのように特許として表現すれば依頼者様のメリットになるのかを考えて、特許請求の範囲に言語化する作業は、弁理士としてやりがいを感じる仕事の1つです。小説や漫画等の原作を映画化する映画監督のような気持ちで、この作業に取り組んでいます。

2.バリア(特許権、商標権等の知的財産権)を作成するために特許庁に対して手続き

バリアを作成するためには、特許出願、商標登録出願等の出願をして、特許庁の審査官の審査を受けて、特許査定、登録査定を得る必要があります

そのためには、特許法、商標法、審査基準等で定められた特許要件、登録要件等の所定の要件を満たしている必要があります

ここで、依頼者様に最適なバリアを追求すると、審査基準等で定められた特許要件、登録要件等の所定の要件を満たさなくなることが少なくありません。

例えば、依頼者様の利益のために、特許権というバリアの中身である特許請求の範囲を広くすると、新規性及び進歩性という特許要件を満たしずらくなります。

審査基準等で定められた特許要件、登録要件等の所定の要件を満たさなければならないという制限の下、特許庁の審査官とやり取りをして、依頼者様にできる限り有益なバリアを成立させる作業は、弁理士の腕の見せ所といえます。

3.作成したバリア(特許権、商標権等の知的財産権)に侵入した者に対する警告、差止請求、損害賠償請求

特許権、商標権等の設定が特許庁で行われると、特許権、商標権等の効力が発生し、依頼者様の商品、ビジネスを保護するバリアが展開されます。

このバリア(特許権、商標権等の知的財産権)は、他人が、依頼者様の商品と類似の商品を販売したり、依頼者様のビジネスに参入することを阻止します。

すなわち、他人が、このバリアに侵入して、依頼者様の商品と類似の商品を販売したり、依頼者様のビジネスに参入したりする場合、弁理士は、その他人に対して、警告、差止請求、損害賠償請求等を行うことができます。

4.他人が作成したバリアを無効化

商品、ビジネスを保護するバリアは、誰でも作成することができます。

このため、依頼者様の商品、ビジネスが、他人が作成したバリアに触れる可能性があることがあります。

この場合、弁理士は、無効審判等を請求して、他人が作成したバリアの無効化を試みることができます。

5.まとめ

弁理士の仕事のイメージをお伝えすると、以下のようになります。

  • 依頼者様の商品、ビジネスを保護するバリアを作成
  • バリアを作成するために特許庁に対して手続き
  • 作成したバリアに侵入した者に対する警告、差止請求、損害賠償請求
  • 他人が作成したバリアを無効化

この記事が少しでも参考になりましたら幸いです。