特許出願を考えているけれど、どのくらい費用がかかるのだろう。きっと、特許出願をして特許を得るにはお金がかかるんだろうな。
特許出願を考えている方が、まず気になるのは、特許出願(特許申請)の費用、言い換えれば特許を得るまでにかかる費用だと思います。
以下では、特許出願をして特許を得るまでに必要な費用について説明します。
1.結論
結論から言うと、 特許を得るまでにかかる費用は、大体55万円〜75万円位です。結構大きな金額ですね(>_<)。
以下、 特許を得るまでにかかる費用 内訳について説明していきます。
2.特許を得るまでに必要な費用の内訳
特許を得るまでに必要な費用には、大きく分けて、
- 特許庁に支払う費用
- 代理人費用
の2つの費用があります。
まずは大雑把に、
ととらえて下さい。
以下、特許庁に支払う費用、代理人費用のそれぞれについて説明します。
2-1.特許庁に支払う費用について
特許庁に支払う費用には、大きく分けて、
- (i)出願料
- (ii)審査請求料
- (iii)第1年から第3年までの特許料
の3個の費用があります。
(i)出願料は、特許出願時に支払う手数料です。具体的には、出願料は、14,000円です。
(ii)審査請求料は、審査請求時に支払う手数料です。具体的には、審査請求料は、138,000円+(請求項の数×4,000円)です。
(iii)第1年から第3年までの特許料は、特許権の設定登録時に支払う手数料です。具体的には、第1年から第3年までの特許料は、2,100円+(請求項の数×200円)です。
なお、出願審査請求って何?そもそも特許出願の流れがよくわかっていない?という方は、この記事を参照してみて下さい。
具体例1
請求項の数を3個とした場合には、
- (i)出願料は14,000円
- (ii)審査請求料は150,000円=138,000円+(3×4,000円)
- (iii)第1年から第3年までの特許料は2,700円=2,100円+(3×200円))
です。このため、特許庁に支払う費用は、166,700円(=14,000円+150,000円+2,700円)となります。
具体例2
請求項の数を7個とした場合には、
- (i)出願料は14,000円
- (ii)審査請求料は166,000円=138,000円+(7×4,000円)
- (iii)第1年から第3年までの特許料は3,500円=2,100円+(7×200円))
です。このため、特許庁に支払う費用は、183,500円(=14,000円+166,000円+3,500円)となります。
特許料等の減免制度について
なお、所定の減免対象者に該当する場合には、特許庁に支払う費用の中の、(ii)審査請求料及び(iii)第1年から第3年までの特許料が1/3、1/2等となります。
減免を受けることができるのは、
赤字の部分です。
請求項の数が3個の場合には、審査請求料と特許料の合計は、152,700円です。例えば1/2の減免を受けることができる場合には、76,350円(=152,700円/2)を節約することができます。
減免対象者は、所定の個人・法人、研究開発型中小企業及び大学等です。個人・法人、研究開発型中小企業及び大学等の方は、所定の減免対象者に該当するかチェックしてみて下さい。
上記の説明では言及していませんが、第4年から第10年までの特許料も減免されます。また、審査請求料と特許料がより減免される場合もあります。特許料等の減免制度の正確な情報は、こちらを参照して下さい。
2-2.代理人費用について
代理人費用は、特許出願を代理する弁理士等に支払う費用です。本人出願をすれば、代理人費用は0円となります。
しかし、特許出願の手続き及び書類作成の難しさを考えると、代理人を使うことがほとんどです。それでは、特許を得るまでに代理人費用はどのくらいかかるのでしょうか。
結論から言うと、代理人費用はピンキリです。数多くの仕事を受けるために代理人費用を相対的に低く設定しておく「数で勝負」の代理人もいれば、高品質のサービスを維持するために代理人費用を相対的に高く設定しておく「量より質」の代理人もいるためです。
しかし、大体の目安として、特許を得るまでにかかる代理人費用として約50万円から70万円位をみとくと、ある程度の品質の特許を得ることができるのではないでしょうか。
代理人費用の内訳
特許を得るまでにかかる代理人費用には、大きく分けて、
- (i)出願手数料
- (ii)中間処理手数料
- (iii)成功報酬
- (iv)事務手続き手数料
の4個の費用があります。
(i)出願手数料は、特許出願の際にに代理人に支払う手数料です。
特許出願をするためには、明細書、特許請求の範囲等の書類を作成する必要があります。出願手数料は、これらの書類の作成費用とも言えます。
(ii)中間処理手数料は、拒絶理由が通知された場合に、その拒絶理由に対して反論する際に代理人に支払う手数料です。拒絶理由が通知されない場合には、中間処理手数料はかかりません。
なお、拒絶理由が2回以上通知されることもあります。この場合には、拒絶理由に反論する度に、中間処理手数料がかかります。
(iii)成功報酬は、無事、特許査定が得られた場合に、代理人に支払う費用です。
(iv)事務手続き手数料は、出願審査請求、特許料の納付等の手続きを特許庁に対して行う際に代理人に支払う手数料です。
特許出願の際には、(i)出願手数料が高いか低いかに目が行きがちですが、特許を得るまでには、代理人費用として、(ii)中間処理手数料、(iii)成功報酬、(iv)事務手続き手数料もかかりますので、これらの費用も考慮して代理人を選ぶとよいでしょう。
3.まとめ
- 特許庁に支払う費用を、約15万円(請求項3個の場合)
- 代理人費用を、約50万円から70万円
とした場合には、特許を得るために必要な費用は、大体65万円〜85万円位となります。
ただし、特許料等の減免制度の適用を受けることができる場合には、特許を得るために必要な費用を約7万円以上減らすことができます。
特許出願の費用は決して安くないですので、特許出願をする際にはしっかりと準備をして臨むことをおすすめします。