「せっかくの発明を特許として守りたい!」そう考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、特許を取得することは決して簡単なことではありません。単に出願すればよいというわけではなく、事前の準備や申請内容の工夫が、特許の価値を大きく左右します。

「よい特許」とは、単に権利が取れればいいわけではなく、競合を牽制できる強い権利であり、将来的に事業を有利に展開できる武器となるものです。
本記事では、特許を成功に導くための「よい特許をとるコツ」について、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

1. 発明を具体化する

まずは、自分の発明を具体的に整理しましょう。

  • 発明の目的は何か?
  • 従来技術とどう違うのか?
  • どのような課題を解決することができるのか?
  • どの部分を特許で保護したいのか?
  • どのような変形例があるのか?

図やフローチャートを用いると、発明の構造やプロセスが明確になります。

2. 特許調査を行う

特許調査を行い、新規性及び進歩性があるかをチェックしましょう。

特許商標無料相談にいらして頂ければ、簡易特許調査(無料)をいたします。

  • 新規性は、その発明が「これまでに知られていないものであること」を指します。
  • 進歩性は、その発明が「既存技術に基づいて容易に考えつくことができないものであること」を指します。新規性があっても、進歩性がなければ特許は認められません。

特許調査の結果、あなたの発明に類似した先行技術が見つかることは少なくありません。そのような場合でも、先行技術にはない、あなたの発明独自の特徴を深掘りしていきましょう。

3. 信頼できる弁理士への依頼

特許の取得には専門的な知識及び経験が必要であす。弁理士の選択次第で特許の質や将来のビジネス展開に大きな影響を与えます。

多くの弁理士事務所では無料相談を実施しています。気になる弁理士や特許事務所をいくつかピックアップし、相談に行ってみましょう。そして、自分の直感を信じて、一番しっくりくる弁理士を選択しましょう。その際、以下のポイントを重視して選ぶとよいでしょう:

  • コミュニケーションのしやすさ
  • 発明の内容を的確に把握してくれるか
  • 発明の価値を高めるための提案をしてくれるかどうか
  • 料金体系の明確さ、出願費用や中間処理費用などの説明が明確か

弊所でも、特許に関する無料相談を行っております。あなたの大切なアイデアを最大限に活かすお手伝いができれば幸いです。

4. 発明の詳しい内容を弁理士に伝える

特許明細書の作成を依頼する弁理士に、発明に関する資料を送りましょう。口頭で、説明してもOKです。

発明に関する資料は、多ければ多いほど好ましいです。弁理士が、適宜取捨選択します。

細かすぎるのではないかと気にする必要はありません。遠慮せずに、弁理士に伝えましょう。

発明に関する情報が多ければ多いほど、特許明細書の質が向上することが多いです。

5. 特許明細書のチェック

弁理士が作成した特許明細書をチェックしましょう。特許明細書には、以下の2個の記載が含まれています。

  • 特許請求の範囲
  • 発明を実施するための形態

特許請求の範囲は、特許の権利範囲を定める最も重要な部分です。特許請求の範囲は、発明の範囲を広げるために、抽象的な記載となっています。記載の意図がわからない場合には、弁理士に確認しましょう。

特許請求の範囲に余計な構成が1つでも含まれていると、競業他社は、その余計な構成を行わないことで、その特許を回避することができてしまいます。特許請求の範囲に必須の構成のみが記載されているかどうかをチェックしましょう。

競業他社さんが、その発明を実施しようとしたときに、特許請求の範囲に記載された発明を必ず実施することになるかをチェックしましょう。

一般に、特許請求の範囲は広いほど有利です。しかし、特許請求の範囲を広くしすぎると、新規性や進歩性が否定されやすくなり、特許の取得が難しくなるというデメリットがあります。そのため、弁理士と相談し、特許請求の範囲の広さと権利の取得しやすさのバランスを考慮しながら、出願時の特許請求の範囲を適切に決定しましょう。

発明を実施するための形態は、抽象的に特許請求の範囲に記載された発明を、具体的に説明した部分です。発明のバリエーション、変形例が多く記載されているほど、発明の範囲が広くなることが多いです。

思い付いた発明のバリエーション、変形例が漏れなく記載されているかをチェックしましょう。

6. 審査を早めるのか、遅くするのかを決定

特許出願の日から3年以内に、出願審査請求をする必要があります。

出願審査請求を早く行うことで(または早期審査を行うことで)、審査を早く行うことができます。

一方、出願審査請求を、特許出願の日から3年経過前ぎりぎりに行うことで、審査を遅くすることができます。

発明の性質や事業戦略に応じて、審査を早めるべきか、あるいは遅らせるべきかを検討しましょう。

審査を早める場合と遅くする場合の比較表

項目 早める場合のメリット 遅くする場合のメリット
特許取得のスピード 特許を早期に取得できる 審査を遅らせて市場状況を見極められる
費用のタイミング 早期に費用が発生 費用の支払いを後回しにできる
競合への影響 早期に競合他社への抑止力を発揮 競合の動向を観察してから判断可能
発明の戦略 早期に特許性を確認し、事業展開に活かせる 技術や市場ニーズに基づき審査請求を取捨選択できる

特許は、発明を守るだけでなく、ビジネスの競争力を高める重要なツールです。「よい特許」を取得するためには、事前の調査、発明の整理、適切な専門家のサポートなど、しっかりとした準備が欠かせません。

今回紹介したポイントを押さえ、特許出願に臨むことで、より強く、価値のある権利を取得できるでしょう。特許取得に関してご不明な点があれば、弁理士に相談しながら進めることをおすすめします。

あなたの大切なアイデアをしっかりと守り、将来のビジネスを成功へと導きましょう!